医療費適正化「政策目標」の設定に着手
厚労省、食住費の自己負担化も
厚生労働省は7月29日の社会保障審議会医療保険部会(星野進保部会長)で、年末までの検討課題になっている医療費適正化のための政策目標の設定作業に着手した。
厚労省は、健診受診率の増加や平均在院日数の短縮などを通じて、中長期的に医療費を縮減させる目標値を例示。さらに高額療養費の自己負担限度額の引き上げや、介護保険制度に合わせて、医療保険でも食費や居住費の自己負担化を目指す方向性もにじませた。
厚労省は同日、中長期的な医療費適正化策として、医療費全体の約3割を占める生活習慣病対策を充実させるため、糖尿病や脳卒中などの発生率を20〜25%改善させる目標数値を例示した。
さらに、平均在院日数を現在(2002年)の38日から30日以下に短縮させ、終末期医療における自宅で死を迎える患者の割合も、2割から4割に引き上げることなどで、25年に約6.5兆円の医療給付費の削減効果が見込めると説明した。
また、短期的な抑制効果が見込める保険給付の見直しにも踏み込んだ。若年層に比べて優遇されている高齢者の高額療養費の自己負担限度額引き上げや、介護保険制度に足並みをそろえて入院時食事療養費制度を見直し、食住費用を患者の自己負担にしたい意図をにじませた資料を提出した。
さらに標準報酬日額の60%が支給されている傷病手当金や、埋葬料など現金給付の部分についても、引き下げや支給期間の短縮を含めて問題提起した。
浅野史郎委員(全国知事会社会文教調査委員長)は、「医療費適正化のために議論をしに来ているわけではない。(まずは健康増進策に取り組み)結果的に医療費適正化になるかもしれないし、ならないかもしれない」と、「削減ありき」の議論の進め方に反発。星野部会長も「われわれ(の議論は)は健康長寿からスタートするべき」と支持した。
入院患者の食住費の自己負担化については、松原謙二委員(日本医師会常任理事)が、「(医療では)食事も治療の一環。介護保険とはまったく質が違うもの」と断固反対の姿勢を明確にした一方、齊藤正憲委員(日本経団連社会保障委員会医療改革部会長)は、自宅でも適切な栄養指導などが受けられるようにする態勢整備に伴って「給付費からは外すべき」と反論した。
また厚労省は、終末期医療に関して、患者の死亡前の1カ月にかかった医療費が年間およそ9000億円に上るとの試算を発表した。1人当たりでは、通常の医療費の約3倍に当たる平均112万円になり、適正化も視野に行われている医療の中身や、在宅での対応が可能かどうかなどについて、分析することを明らかにした。

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