昨年度の総医療費過去最高
厚生労働省は7月26日、2005年度の「医療費の動向」をまとめ、中央社会保険医療協議会に報告した。医療保険と公費負担医療の対象となる概算医療費の総額は、前年度比3・1%(9700億円)増の32兆4000億円で、過去最高を更新した。70歳以上の高齢者の医療費が5・7%(7300億円)増え、総額を押し上げた。
1人あたりの医療費は、3・1%(8000円)増の25万4000円だった。患者が医療機関を受診した延べ日数は0・3%減ったが、1日あたりの医療費は医療技術の高度化などで3・4%(400円)増えた。
概算医療費の総額は、03年度から前年度比で増加が続いている。06年度は医療機関に支払う診療報酬がマイナス改定されるなど医療制度改革が実施されるため、厚労省では「少なくとも増加のペースは鈍るはずだ」と見ている。
中医協(土田武史会長)は6月21日の総会で、平成17年6月実施の医療経済実態調査の確定値について報告を受け、了承した。そのうち医療機関等調査によると、17年6月における療養病床60%以上の医療法人の医業収支差額は655万1千円で、医療法人全体の180万1千円の3.6倍にのぼることがわかった。介護保険事業を実施していない1施設当たりの一般病院の収支を比べた同調査は、診療報酬の改定率を審議するため昨年11月に速報値が中医協に報告されている。
療養病床60%以上の医療法人の医業収入は7871万5千円、医業費用は7216万4千円だった。これに対し、医療法人全体の医業収入は1億3617万6千円、医業費用は1億3437万4千円。一方、15年6月の調査と比べると、療養病床60%以上の医療法人の医業収支差額は115万3千円から539万8千円増加した。医療法人全体では230万8千円から50万7千円減少した。またその他の医業関連収入、医業関連費用を合わせた療養病床60%以上の医療法人の総収支差額は641万3千円。一般病院の総収支差額は152万1千円となっている。
なお国公立や社会保険関連法人、個人を合わせた療養病床60%以上の一般病院全体の医業収支差額は624万2千円で、一般病院全体のマイナス617万1千円を大幅に上回っている。
国保中央会(斉藤十朗会長)は6月21日の記者会見で、平成17年度分の国保医療費速報を発表、初めて総額で19兆円を突破したことを発表した。
市町村分と国保組合分を合わせた総額は、前年度比4.2%増の19兆287億円となった。市町村分は4.3%増の18兆2742億円。医療機関の稼働日数は、前年度よりも0.5日多い。
市町村分をみると一般4.4%増の6兆890億円、退職14.9%増の2兆9059億円、老人1.4%増の9兆2793億円となった。
1人当たり医療費は3.9%増の38万2034円で、一般4.6%増の21万1376円、退職4.6%増の37万7295円、老人5.2%増の81万9335円となり、老人は一般の約4倍となった。
都道府県別に1人当たり医療費をみると、最も高いのは高知県で49万865円、次いで山口県48万9106円、北海道48万7426円の順。最も低いのは千葉県の30万7908円で、次いで沖縄県30万8194円、埼玉県31万3817万円となっている。最高と最低の差は約1.6倍。16年度は北海道、山口県、広島県の順番で、高知県は4番目。最低は沖縄県で千葉県は2番目に低かった。
老人分の1人当たり医療費は、最高は福岡県が101万3973円で初めて100万円を超え、北海道99万7045円、高知県96万6870円と続く。最低は長野県の67万4312円で、次いで新潟県68万5030円、山形県69万8907円となった。最高と最低の差は約1.5倍。16年度も上位3道県、下位3県は17年度と同じ順番だ。
DPC対象病院となる病院の基準
DPC対象病院となる希望のある病院であって、次の基準を満たす病院とする。 ・ 7対1入院基本料又は10対1入院基本料を算定していること * 現在、7対1入院基本料又は10対1入院基本料を算定していない病院については、平成20年度までに満たすべく計画を策定すること
・ 診療録管理体制加算を算定している、又は、同等の診療録管理体制を有すること
・ 標準レセ電算マスターに対応したデータの提出を含め「7月から12月までの退院患者に係る調査」に適切に参加できること
上記に加え、下記の基準を満たすことが望ましい。 ・ 特定集中治療室管理料を算定していること
・ 救命救急入院料を算定していること
・ 病理診断料を算定していること
・ 麻酔管理料を算定していること
・ 画像診断管理加算を算定していること
医師不足による地域医療の衰退
今春臨床研修を終えた若手医師のうち、大学病院に戻った医師は約半数に過ぎないことが、全国医学部長病院長会議(会長、吉村博邦・北里大医学部長)の調査で分かった。特に、北海道や四国の大学では臨床研修必修化前と比べて大きく減少、大都市集中の傾向が目立った。診療科別では、脳神経外科、小児科、産婦人科が激減した。同会議は「大学に所属する医師の減少は地域医療の崩壊につながる」とし、臨床研修制度の抜本的な見直しを求める声明を近く公表するという。
同会議の地域医療に関する専門委員会が今年4月、全国の医学部、医科大学計80大学を対象に調査。中間報告として5月上旬までに寄せられた67大学分を分析した。
04年卒業者で2年間の臨床研修を終え、今年4月以降に大学に戻った医師(他大学出身者を含む)は51・2%。研修必修化前の02年の卒業者が大学に残った率の72・1%と比べ、約21ポイント減少した。
地域別では、関東の大学は8・7ポイントの減少にとどまったが、四国は74%から30・2%、北海道は76・4%から33・1%など、それぞれ40ポイント以上減少。人口50万人以上の都市のある都府県と札幌市(中大都市圏域)、それ以外の道県(小都市圏域)を比較すると、小都市は42・4ポイント減少したが、中大都市は5・5ポイントの減にとどまっていた。
大学病院に戻った医師を診療科別でみると、形成外科が40・9%増えたのをはじめ、皮膚科23・6%増、麻酔科23・2%増、耳鼻科7・5%増。一方、脳神経外科は42・3%減、外科で32・8%減、小児科28・1%減、整形外科27・2%減、産婦人科18・5%減、救急16・9%減だった。

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