夜間の看護配置充実へ
診療報酬改定と併せ議論_第5次医療法改正へ 社保審医療部会が中間まとめ
厚生労働省は28日、第5次医療法改正に向けて議論を進める社会保障審議会医療部会(部会長=鴨下重彦・社会福祉法人賛育会病院長)に「医療提供体制に関する意見中間まとめ」を提出した。前回の会合に提出した素案を数カ所、修正し、「病院薬剤師や看護職員の夜間帯の体制確保を考慮して人員配置標準を充実させること検討する」との文言を付け加えた。この日の会合で「中間まとめ」は、おおむね了承された。
厚労省医政局の原勝則総務課長は、「配置標準は診療報酬と一体で検討していく必要がある。来年の改定に向けて、早急に議論すべきものと理解している」と述べた。
看護師の配置標準は現在、一般病床の入院で患者3人に対して1人を配置する「3対1看護」となっているが、これは「常時3対1」という意味ではない。
医療部会委員の古橋美智子・日本看護協会副会長は、これまでの医療部会の会合で、「夜間は20対1、25対1という状況も起きている。2対1、3対1と公表しても、国民にとってはトリックみたいなもので理解できない」と発言し、夜間の配置標準の充実を要望していた。
中間まとめでは、医師数の配置標準についても、「病院における外来患者に基づく医師数の規定の必要性について、引き続き検討することが必要である」と記した。
医師の配置標準は一般病床で16対1、療養病床で48対1、外来で40対1となっており、廃止を含めた見直しを求める声は多い。
配置標準の早期廃止に否定的
ただ、配置標準をすぐに廃止することに関しては、厚労省は否定的だ。都道府県が医療機関の人員配置の状況を把握し、公表する仕組みが整えば、患者側は公表された人員数を基に医療機関を選択できるようになる。そうなれば配置標準の必要性はなくなり廃止も考えられる、というのが厚労省のスタンスだ。
土屋隆・日本医師会常任理事はこの日の検討会で、「四病協(四病院団体協議会)と日医の会合でも、今の配置標準は矛盾しているとの考えで一致している」とした上で、「廃止を含めた見直しは、やるのか、やらないのか。やるならいつか」と事務局側に厳しく詰め寄った。
原総務課長は、外来患者に基づく医師数の規定の必要性や、病院薬剤師や看護職員の人員配置標準の充実については、診療報酬改定との関連で早急に議論するものの、人員配置標準そのものの廃止については、「病院の人員を届け出て、都道府県が公表する制度の運用状況を見て判断することになる」と説明した。
中間まとめでは、「医療機関等が、その施設の医療機能に関する一定の情報を都道府県に届け出て、都道府県が住民の選択を支援する情報提供という趣旨で、それらの情報を集積してインターネット等で住民にわかりやすく情報提供する枠組みを制度化することが考えられる」と記している。
岩尾總一郎医政局長は会合の最後に、「提供体制と診療報酬は車の両輪であり、医療法改正を考える中で、秋以降、診療報酬との関連について積極的な議論を願いたい」と述べた。
非営利性検討会が報告書 「持ち分は誤り」と明記
新設法人は持ち分なしに
厚生労働省は22日、2階建て新制度への移行を骨子とする医療法人制度改革に向けた報告書案をまとめた。規制改革・民間開放推進会議が批判の的としていた医療法人の持ち分について、「医療法人の実態として持ち分があると誤って判断されてきた」と明記。医療法人は、出資や持ち分の概念のない非営利法人であることを明確にした。今後、新設される医療法人は、持ち分のない法人とするほか、約4万におよぶ既存の医療法人についても、持ち分があるとの前提で定められた定款の変更を促していく。
既存の医療法人は移行促す
報告書案は同日、東京都内で開かれた「医業経営の非営利性等に関する検討会」(座長=田中滋・慶応大大学院教授)に提出され、おおむね了承された。
医療法人制度の創設時の理念は出資持ち分の概念のない非営利法人だったのに、これまで誤った判断がされ、出資者個人に課税されていた ― 。これが、同検討会での厚労省の基本的な考え方だ。
ただ、「これまで誤った指導をしてきたのは厚労省側だ」との批判もあった。検討会の席上、三上裕司・日本医師会常任理事は「誤って判断」との表記について、「医療法人も課税当局も医療法人の趣旨を理解せずに、持ち分があるものと判断してきた。一から出直す意味で、厚労省が謝ったという意味だろう」と述べた。
現在の最高裁にあたる大審院の1926(昭和元)年の判例によると、「毎年利益配当しない場合でも、解散時にまとめて社員に残余財産の分配を契約しているなら、法人形態として営利法人と違いがない」としている。
この判例に従うと、毎年の配当がなくても、1度にまとめて剰余金を分配する法人は営利法人となる。つまり、社員の退社時に出資額に応じて剰余金部分も払い戻したり、解散時に出資額に応じて残余財産を分配することは、剰余金の配当を禁止した医療法に違反することになる。
1957(昭和32)年に当時の厚生省(当時)医務局総務課長は、持ち分の払い戻しについて「出資額に応ずる金額でなしても差し支えない」とする通知を出した。見方によっては、厚労省が医療法違反を容認したともとれるわけだ。
報告書案では、この通知について廃止も含めて検討し、医療法違反を容認しているとの疑念が起こらないようにする、とした。
厚労省医政局指導課によると、今後、社員退社時の払い戻しや残余財産の分配の際に剰余金部分を含めない、とする新しい社団医療法人のモデル定款を策定し、積極的に定款変更するよう都道府県などを通して周知徹底していく。
法人が解散した際の残余財産の帰属先については、従来のような定款や「寄付行為」に定めるのではなく、国や地方公共団体か、他の医療法人に帰属させることを医療法上規定すべき、とした。いわゆる出資者へは、出資額を限度とする部分だけが戻り、剰余金は分配されないことにする。
ただ、当分の間、経過期間を設け、医療法人の経営に支障がないように配慮するとも明記した。
公益性評価する指標を検討
2階部分の公益性の高い医療法人はこれまで「認定医療法人」としてきたが、認定医療法人との呼称は報告書案から消えた。検討会では、山崎學・日本精神科病院協会副会長が「地域医療サービス法人」との呼称を提案した。
2階部分の法人が担うことになる公益性の高いサービスについては、厚労省はこれまで、「休日診療、夜間診療などの救急医療」「へき地医療、離島医療」「重症難病患者に対する継続的な医療」などを挙げている。
報告書案では、公益性の高いサービスの内容や、内容を客観的に評価できる指標を提示する必要があるとしており、今後、パブリックコメントなどを通じて意見を募集する。
混合診療問題への対応策として、新たに保険診療との併用が認められることになった「必ずしも高度でない先進技術(先進医療)」。1日の初回受け付け開始から7月分の届け出期限の15日までに、特定医療法人愛仁会 高槻病院(大阪府高槻市、一般477床)など、少なくとも5施設が先進医療を届け出た。8月の届け出を予定している民間病院もあり、より高い技術を持つ病院の「証し」として、先進医療は大学病院以外の急性期病院に広がっていきそうだ。
尾辻秀久厚生労働相は7月14日、介護保険3施設などの居住費、食費が10月から自己負担となることに伴い、介護報酬単位の見直しを、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・千葉大教授)に諮問した。 見直しでは、施設サービス費から居住費相当分を引き下げ、利用者の自己負担を導入。介護老人保健施設、介護療養型医療施設にもユニットケアを評価する報酬体系を新設する。また食費の保険給付である「基本食事サービス費」を廃止。「栄養ケアマネジメント加算」を新設するなどして、きめ細かな栄養管理の取り組みを促す。施行は10月1日。
今回は、改正介護保険法のうち10月実施分の施行に伴う部分改定。厚生労働省によると、実施されれば、2005年度予算ベースで介護保険給付費を1300億円(うち国費400億円)引き下げる財政影響がある。平年度ベースでは3000億円(1000億円)の給付費減につながり、介護保険料を月額平均200円引き下げる効果がある。
諮問案によると、居住環境の違いに応じて介護3施設それぞれに、
(1)ユニット型個室
(2)ユニット型準個室
(3)従来型個室
(4)多床室
― の4類型の報酬を設定。介護老人福祉施設で進めてきたユニットケアを、介護老人保健施設、介護療養型医療施設にも取り入れるため、「ユニット型施設サービス費」を創設するなどの見直しを行う。
食費については、「基本食事サービス費」や通所サービスの「食事提供加算」を廃止。食材費と調理費相当分を利用者負担とする。
その一方で、個々の利用者の健康状態にあった栄養管理を促すため、「栄養マネジメント加算」(1日当たり12単位)や、管理栄養士か栄養士を1人以上配置した場合に算定する「栄養管理体制加算」(12単位、10単位)を新設。経口摂取を進めるため医師が栄養管理を行う場合に180日を限度に算定する「経口移行加算」(28単位)も設け、医師の指示せんに基づき療養食を提供した場合の「療養食加算」(23単位)を新設する。

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