長期入院する慢性病の高齢者向け施設である医療型「療養病床」(25万床)を11年度末までに4割減らす計画について、厚生労働省は削減を断念し、現状維持する方針に転換した。都道府県ごとに需要を調査した結果、25万床前後の確保が必要と判断した。厚労省は療養病床削減により医療給付費を3000億円削減する方針だったが、今回の計画断念で高齢者の医療費抑制政策全般にも影響を与えることは必至だ。
政府は06年2月、「入院している人の半分は治療の必要がない」として、当時38万床あった病床のうち介護型療養病床(13万床)を全廃し、医療型療養病床を4割減らして15万床にする方針を決定。達成に向け、「医療の必要度が低い」と判定された人の入院費を減額し、そうした入院患者を多く抱えていた場合は病院経営が成り立たなくなるようにした。
このため厚労省は07年4月、医療型療養病床のうち回復期リハビリ病棟(2万床)を削減対象から外したうえで、都道府県を通じて実情調査。必要とする療養病床数を積み上げたところ、当初計画を7万床上回る約22万床に達することが判明した。一方で削減対象から外したリハビリ病棟は今後少なくともいまの1.5倍、3万床程度は必要になるとみられている。需要数を合わせると現状と同じ25万床前後となり、削減計画の見直しとなった。
スウェーデンのウメア大学の研究チームは、タミフルの活性成分は、通常の下水処理で取り除くことができず、また紫外線照射によっても分解されずに自然界に排水とともに放出されるため、排水口近くの野生のカモなどがこれをエサとともに摂取した場合、ウイルスが突然変異を起こしてタミフルに対して耐性を獲得してしまう危険があるとする研究結果を、PLoS One 誌に発表しています。
通常、下水処理は「機械的処理」「化学的に処理」「微生物による処理」の3段階で行われますが、研究チームは、2006年6月にウメアの下水処理施設から3種類の下水(未処理の下水、濾過して化学処理後の下水、微生物を使って処理後の下水)を採取し、肝代謝によって生成されたのち体外に排出される活性体のオセルタミビルカルボン酸塩(OC:oseltamivir carboxylate)の量を調べて、通常の下水処理でOCが取り除かれるかどうかを調べました。
その結果、いずれの下水でもOCが認められ、また、研究者らは水環境における“sorption”“ biodegradation”“photolysis”といった分解経路によってもOCは容易に分解されないとしています。
つまり、タミフルが大量に処方された場合、自然中におけるOC濃度が高まることにつながり、研究者らは世界的な流行が懸念されているH5N1ウイルスに耐性を与えてしまうリスクが高まる可能性があるとして、「タミフルは医療上必要な場合の処方にとどめるべき」としています。
研究者らは、多くの国ではタミフルの使用量を少なく、耐性ウイルスの出現についてはさほど心配することはないことを示唆していますが、インフルエンザにかかると1/3の患者がタミフルを使うとされる日本については潜在的なリスクがあるとしています。
日本におけるタミフルに耐性ウイルスの問題は、既に2004年にLancet で発表された研究で明らかになっていて、この研究報告では、日本で感染した少人数の児童を調べたところ、18%が突然変異ウイルスに感染、また、このウイルスのタミフルへの耐性は、普通の場合に比べ300〜10万倍高かったということがわかっています。
レセプトの電子化
社会保険診療報酬支払基金は5月28日の定例会見で、平成19年4月末現在のレセプト電算処理システムの普及状況を発表した。それによると、全体のレセプトに占める普及率は医科で22.1%、調剤で76.8%となり、前年度よりも進展していることが分かった。
医科をみると、病院は548万件で病院全体の41.1%を占めている。また、診療所は501万件で診療所全体の14.7%となった。全体では1049万件の22.1%となった。
18年度4月末現在では、病院は27.0%(344万件)、診療所は9.5%(267万件)で、全体では15.0%(610万件)だったことから、病院は14.1%(204万件)増、診療所は5.2%(234万件)増、全体で7.1%(438万件)の増加となっている。
医療機関数ベースでみると、参加機関は病院1,690、診療所8,118で、前年度よりも病院563、診療所3,222増加した。普及率は病院の18.9%、診療所の9.2%となっている。
一方、調剤は1841万件、普及率76.8%。前年度は、1223万件、65.1%だったので618万件、11.7%増加した。参加機関数は2万8465薬局で、全体の56.3%を占める。
新薬メーカーが中心メンバーの日本製薬工業協会は、このほど薬価制度改革案をまとめ、厚生労働省に新しい薬価制度を提案したそうです
日本では、新薬の薬価は「類似薬効比較方式」または「原価計算方式」のいずれかによって算定されているが、前者の方式については、類似薬が上市後長い年数を経過した品目の場合には、大幅に低下した薬価が基準となるため、革新的な新薬であってもその価値に見合った価格が設定されにくい。また後者についても、製造原価や販売管理費などをベースに薬価が決定されるため、新薬がもたらす医療上の価値は考慮されていないといえる。
(米国、イギリス、ドイツ市場では、新薬の価格設定は原則として自由価格制度)
日本では新薬上市後は市場実勢価格に応じて原則2年ごとに薬価の改定が行われている。新薬上市直後から、こうした定期的な価格の引下げが行われるのは主要先進国のなかでは日本だけで、現行の薬価制度下で形成される市場価格は、必ずしも価値を適正に反映したものとなっていない。
(政策研のレポートではスタチンの15年間の価格推移の各国比較を掲載、シンバスタチンを例にあげれば、米国では15年間で価格が2倍に、英・仏・独などでは後発品参入までほぼ横ばい、日本は40%下落。また、またアトルバスタチンとロスバスタチンは、既に価格が低下した既存品との類似薬効比較方式で算定されているため、既存品の上市時の価格と比べると相当低い価格水準での市場に参入を余儀なくされていると指摘)
新薬の価値が適正に反映された市場価格の形成を促す仕組みとして、医療機関が購入した価格で償還する実費償還制度は望ましいが、インフラ整備等が必要であり、当面は、現行制度に修正を加えていくことが必要と考えられる。
具体的には、薬価改定しない合理的と認められる乖離幅(実質的な特許期間中で平均納入価格が償還価格の7%以内)を設定し、その範囲内であれば定期的な薬価改定の対象外とするなど、特許期間中の新薬については、一定の条件下で価格の循環的低下を回避できるメカニズムを導入する。
一方、特許失効後は先発品から安価な後発医薬品へのシフトが進むような施策(後発医薬品発売後には先発医薬品を一律で最大50%引き下げる、薬価の毎年改定など)を強化する。
今回の改革案は、簡単に言えば「新薬は高く、古い薬は安く」するというもので、「画期的な新薬」を開発できるメーカーにとっては、国際競争力を高める上でも必要な方法かと思います。しかし、後発品主力のメーカーや開発力の乏しい中堅以下のメーカーにとっては不利な内容であります。
財務省が考える医療費抑制案
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が開催され、財務省が示した医療費の「高コスト事例」を基に、社会保障制度改革について議論が行われました。
日本経済新聞によれば、高齢化で膨らむ医療費の削減に向けて、税金と保険料を財源とする公的医療保険の給付の範囲を見直して対応すべきだとの認識で大筋で一致、来月政府が策定する「骨太方針2007」への反映を目指し、具体的な項目の詰めを急ぐとしています。
財政制度等審議会 財政制度分科会 財政構造改革部会
審議会では、後発品の利用率が外国と比べ低い、心臓ペースメーカーなど医療機器の価格が外国の2〜8倍高い、CTやMRIなど高価な機器が人口あたり4〜13倍もあるいった、高コストの事例を示し、薬剤関連については下記のような提言を行っています。
1.後発医薬品の使用促進
先発品と後発品では、成分が同じでも1.5〜3倍の価格差があり、先発品を使用すればその分、患者負担だけではなく、国民負担(税・保険料)も増加する。「後発品のある先発品」は金額シェアで3〜4割を占めていることを踏まえれば、薬剤費の削減余地は大きい。なお、後発医薬品の使用を促進する観点から、保険での償還額をGEを基に設定(償還限度額、参照価格)し、それを超過する分については、患者が負担する制度を導入している国(仏・独)もある。(日本でも参考としたい)
2.市販類似薬の保険給付の見直し
成分が同様でも「保険適用医薬品」と「薬局で自費購入する医薬品(OTC薬)」がある。一般の薬局で処方せんなしで自費購入できる医薬品まで保険財源で賄うことは適当か。
フランスでは、薬剤(外来)の内容によって、負担割合を変更している。
[代替性のない重要薬:0%、一般薬(白ラベル):35%、効果の低い薬(青ラベル):65%、ビタミン剤等:100%]
ドイツでは2004年より、処方せんなしで入手できる医薬品等を原則として公的医療保険の対象から除外
保険での償還額をGEを基に設定する制度については、いわゆる参照価格制度として10年前より、たびたび導入の是非が問われていますが、財務省では、導入が実現すれば薬剤費を1兆円近く削減できるとして、5月13日の日本経済新聞などが、財務省が前向きに検討していると伝えています。

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